ブログ -診察室より-

「朝の光の中で」 その42018.11.30

朝の日の光にガラスのコップが美しく映えるのは、ハワイの海辺に限ったことではないでせうと思はれます。

南フランスの海辺でも、南イタリィの海辺でも、あるひは日本の南方の海辺でも、カハラ・ヒルトン・ホテルのテラス食堂でのやうに、コップのガラスの肌に、明るく豊かな日の光りがうつるのかもしれません。

またホノルルの日のかがやき、空の光り、海の色、木々のみどりを、ガラスのコップのやうなつまらないもの、なんでもないものに、鮮明な象徴を見つけなくても、ハワイの美しさを象徴するいちじるしいもの、よそにたぐひのないものは、もちろん、幾らもありますでせう。

色のあざやかな花々、姿よく茂る木々、それから例へば、わたくしはまだ見る幸ひに恵まれてゐないものですが、沖のひとところだけに降る雨に真直ぐに立つ虹、月の暈(かさ)のやうに月を巻く円い虹など、めづらしい景物もありませう。

「朝の光の中で」 その32018.11.28

ガラスのコップの縁の、このきらめきに目を澄ましてゐるうちに、コップの胴のひとところにも朝日の光りの宿るのが、私の目にうつって来ました。

これはコップの底の縁のやうに強いかがやきではなくて、ほのかにやはらかな光りであります。

光線の燦々なハワイでは、日本風にいふ「ほのか」はあてはまらないかもしれませんが、底の緑の光りが点からかがやきを放ってゐるのとはちがって、胴の光りはやはらかく面に、ガラスの肌に、ひろがってゐるのです。

この二つの光りは二つとも、いかにも清らかに美しいのでした。

ハワイの豊かに明るい太陽、爽かに澄む大気のせゐでありませう。

片隅のテエブルの上に用意した、ガラスのコップの群れに、このやうな朝日の光りを発見し、感得しましたあとで、目を休めるやうにテラス食堂をながめますと、すでに客のテエブルにおかれて、水と氷を入れてあるコップ、そのガラスの肌にも、ガラスのなかの水と氷にも、朝の光りがうつったり、さしこんだりして、さまざまに微妙な明りをゆらめかしてゐました。

気をつけなければ気がつかないほどの、この光りもやはり清らかに美しいのでした。

「朝の光の中で」 その22018.11.22

コップの群れは、まあ出動態勢の整列できちんと置きならべたさまなのですが、みな伏せてありまして、つまり、底を上にしてありまして、二重三重にかさねたのもありまして、大きいの小さいのもありまして、ガラスの肌が触れ合ふほどどのひとかたまりに揃へてあるのです。

それらのコップのからだまるごとが、朝日にかがやいてゐるのではありません。

底を上にして伏せた、その底の円い緑のひとところが、きらきら白光を放ち、ダイヤモンドのやうにかがやいてゐるのです。

コップの数はいくつくらゐでせうか、二三百はあるでせうか、そのすべてが底の縁の同じところを同じやうにかがやかせてゐるわけではありませんが、かなり多くのコップの群れが、底の縁の同じやうなところに、かがやく星をつけてゐるのです。

コップの行列が光りきらめく点の列を、きれいにつくってゐるのです。

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