ブログ -診察室より-

お産を取り巻く環境2006.04.05

この地域に住んでみえる方はほとんど感じないと思いますが,今お産を取り巻く環境が急速に悪化しています.

お産は365日24時間いつでもあります.そして元気に生まれて来てくれて当たり前.赤ちゃん,お母さんにひとたび何かあろうものなら,とたんにその批判,疑惑の目は産科医に向います.そして今の時代においては,納得が得られなければ訴訟をおこされる事も稀ではありません.そんな肉体的,精神的激務のため,産科医はどんどん減っています.地域によってはお産をするのに何十kmも離れた産科に通わなければならない所も出て来ています.そしてこうした状況はここ数年で加速度的に増えるだろうと言われています.

お産において赤ちゃん,お母さんの具合が悪くなる事は大変不幸な事であり,産科医としては何とか少しでも減らす努力をするのですが,決してゼロにはなることはありません.今でも赤ちゃんは千人生まれれば一人以上が亡くなり,お母さんにおいても一万人に一人程度お産をきっかけに亡くなられる現実があります.日本におけるこうした数字は世界的に見てもトップクラスの低さなのですが,こうした状況に陥ったご家族の苦悩は想像に難くありません.しかしこうした事態においては僕達産科医も大変苦しむのも紛れもない事実なのです.

福島で帝王切開にあたって手術を受けられたお母さんが出血多量で亡くなられるという悲しい事故がありました.そして担当産科医が1年以上たった先日,逮捕,起訴されました.これに関して産科医のみならず医師全体に大きな動揺が起こっています.色々な医療事故の報道がなされる昨今ですが,同じ医師の目から見て今回の逮捕,起訴はどうしても納得出来ない部分があるのです.詳細はこれから明らかにされていくもので,まだまだ僕達にはわからない部分もあるのですが,今回ここに書いたのは,お産の場において赤ちゃんやお母さんが亡くなる,という事実は決してゼロになるものではないということをみなさんにあらためて思い出して頂きたいという思いがあってのことです.

翻って自分達に何ができるか,いつも自宅で茂美先生と話しています.(院長も含めると3名ですが,現在ではお産からは一定の距離をおかれ,ほとんど僕達に任せて頂いています.)結局の所,僕達に与えられた使命は,自分達が関わらせてもらうお産にきちんと向き合っていく事に尽きると思います.その意味でお産の数を制限させて頂いている事を心苦しく思っていますが,ご理解いただければと思います.
小牧では小牧市民病院の他3箇所のお産を扱う開業医があります.当院に関して言えば小牧をはじめ,春日井,岩倉,犬山,丹羽郡,江南,名古屋,そして岐阜から直接通ってみえます.
赤ちゃんが亡くなったりお母さんが亡くなったり,ということはお産に関わるものとしてゼロにしたいと願う反面,どんなに医療が発達しても決してゼロになるものではありません.しかし逆にいえばほとんどのお産は問題なく無事に済み,スムースに育児に入っていってもらえるという事実もあります.このギャップに僕達産科医ならびに助産師,看護師は喜びながら,その一方で苦しみもしています.

どうも今回の話題は以前から書かなければ,と思いながらキチンと伝えられる自信がなく,ためらっていました.そして実際に書いてみてやはり上手に書けていないように思います.そして日々揺れ動いています.

また後日この件については触れてみたいと思います.

木の空間2006.03.18

案の定,たくさんあいてしまいました.まあでもこんな感じですね.
今,病院の裏地の小さなスペースに小さな家を建てる計画を進めています.目的は2つあります.(大きな声では言えないのですが実は三つあるのですが,三つ目は秘密です.)

一つ目の目的は院内託児です.働き盛りのスタッフがお産をする事は大変喜ばしい反面,はやくまたお産の場に戻って来て欲しいという思いもあります.そしてストレスなく仕事と育児を続けて欲しいと思います.しかし保育園にあがる前の託児施設は大変少ないのが現状です.以前から茂美先生と院内託児ができるといいね,と話していました.また患者さんにはこの院内託児ができると上のお子さんを連れていてもマザークラス,マタニティビクスなどに気兼ねなく参加してもらえるような一時託児もできるようになります.

二つ目は参加自由の母乳育児支援スペースです.今の所,週に三日やっているおっぱい外来を毎日,そしてフリーアクセスにしたい,というものです.最終的にどうなるか,細かい点はこれからですが,早くできるといいなと思っています.遊びに来る感覚でブラリと寄ってみてお茶だけして帰る,なんてのもありかなと思ってます.

その建物は木造です.育児には木の空間がふさわしいと思います.設計は草空間設計の横地さんという岐阜の設計士さんです.横地さんは高橋修一さんという方が主宰されている住まい塾(http://www.sumai-jyuku.gr.jp/)の出身の方です.高橋さんの作品,考え方を本,ホームページで拝見して以来のファンで,今回横地さんにお願いする事になりました.大工さんは佐藤さんという脂の乗った職人さんです.横地さんお薦めの方です.手すり,ドアなどにアインズの松岡信夫さん(http://homepage2.nifty.com/ains_matsuoka/index2.html)という方の作品が入り,この空間をさらに素敵なものにしてくれます.これまた僕が大好きな作品を作られる方で,鉄を中心とした素材感のある,心地よい作品です.僕の勝手なイメージなのですが,焼きものでいうと冷たさのある磁器ではなく鉄モノなのに陶器のようにあたたかい感じがするのです.ちなみに僕は焼きものは中国の洗練されたものではなく,朝鮮の朴訥としたものが大好きです.

大きな部分での希望は出してありますので,後はお三方に自由に腕を振るってもらうばかりとなっています.もう想像するだけでわくわくしてしまい,出来上がったら絶対寝泊まりしてみようと思っています.

4月からボチボチと工事が始まる予定です.このブログでまたおいおい写真なども交えて報告していこうと思っています.どうぞお楽しみに.

HP全面リニューアルにあたって2006.03.02

 当院のホームページがほぼ3年振りに全面リニューアルしました.思い立ってからおよそ半年,日々の診療に流されながらようやくアップすることが出来ました.やれやれです.

 この3年の間,たくさんの出会いをいただきました.多くのお母さん,赤ちゃんとの出会い.よきスタッフとの出会い.そして同じ志を持つ産科医の先生達との出会い.そうした出会いの中,当院のホームページもだいぶ趣をかえたものとなりました.根っこのところはなんら変わってないのですが,『「みわ」にかかろうと思っていただける方に,この地でキチンと向き合っていこう』とのあらためての意思表明のつもりもあります.

 そしてこの3年を振り返っての大きな変化は何と言ってもフリースタイル出産を取り入れはじめたことでしょうか.これについては東京の明日香医院の大野明子先生の影強を強く受け,ふれあい横浜ホスピタルの早乙女智子先生をはじめ,大野先生を中心に集まったお産に関わる先生方の存在に勇気づけられ動き始めました.本当によかったと思っています.茂美先生も僕も,それまでのもやもやしていた感覚がすっとなくなったような気がしています.
大野明子先生の著書「分娩台よ,さようなら」,お薦めです.

 このブログ,実は上に書いた明日香医院の大野明子先生が(ブログではないですが)日記形式のメッセージを書いておられ,産科仲間の足立クリニックの松崎徹先生がそれこそブログとして毎日書かれているのを拝見し,ウチでもやってみたいと思い今回のリニューアルに組み入れました.お二人とも大変尊敬する産科医であり,僕達も日々励まされながらお産に向き合っています.
アイディアをいただいたこと,この場を借りてあらためてお礼を申し上げます.

 ただ,もともと文才もなく筆まめでもないので恐らく不定期のアップとなります.「診察室から」なんておおげさなタイトルにしてますが,内容も色々なことになりそうです.たまには僕の好きなワケのわからない古道具,なんてのも登場させようかと思っています.

みなさま,たまにはのぞいてやってみて下さい.

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